Dr-45でも静かにならない? ─ 開口部処理が遮音性能を左右する理由と設計の勘所 ─

◆ パネル性能だけでは、静音空間はつくれない

遮音室の設計において、「Dr-45相当」や「STC45」というスペック表記は、しばしばそのまま遮音性能を示す目安として使われています。
しかし現実には、遮音パネルが優れていても、実際のNC値が想定より高くなるケースが少なくありません。

その原因の多くは、「開口部」にあります。
ドア・換気ダクト・配線開口といった部分が、**構造的な音漏れ・構造伝搬の“抜け道”**になってしまうのです。

◆ 遮音ドアの誤解──質量だけでは不十分

遮音ドアの性能は、単に重さ(質量)や厚みだけでは決まりません。
以下のような設計要素が、静音性に大きく関わってきます:

要素 説明
周囲の気密構造 ゴムパッキンや磁気シールによるすき間処理が不十分だと、音漏れの主因に
開閉部のたわみ 開閉時に構造共鳴が生じる設計では、固体伝搬音を生みやすい
戸枠との共振 ドア+枠の共振周波数制御がされていないと、遮音効果にムラが出る
ロック機構の剛性 押さえが甘いと、密着力が足りず遮音性能が低下

インクロジュアでは、ソノーラの吸遮音設計に基づき、機械締結型の高気密構造ドアを採用しています。
これにより、ドア部からの音漏れやフラッターを抑えた構造を実現しています。

◆ 換気構造の盲点──“静かに吸排気する”のは簡単ではない

遮音空間で最大の課題のひとつが、「換気」です。
外部と空気を通す構造は、音も一緒に運んでしまいます。

静音性能を満たす換気構造には、以下の要素が求められます:

要素 解説
流速のコントロール ファン出力が過剰だと、風切り音が室内に伝搬しやすい
吸音付きダクト構造 内部にBFPや吸音材を配置したサイレンサー構造が必要
曲路処理(バッフル構造) 直線通気経路は音も抜けやすいため、曲がり構造で遮断する必要がある
構造体との防振処理 換気本体が壁や床と固く接していると振動伝搬が起きやすい

インクロジュアの換気設計では、サイレント換気ユニット+吸音バッフル構造を標準装備とし、
音響測定に支障のない流速・騒音レベルを実現しています。

◆ “小さなすき間”が、空間全体の静けさを壊す

特に見落とされがちなのが、以下のような補助的開口部の処理です:

  • 照明・電源・配線の導入口
     → パッキン処理がなければ、音と空気が直通してしまう
  • 床構造と壁基礎の取り合い部
     → シーリング不足により空気音が床面から漏洩することも
  • パネル接合部の不連続箇所
     → 現場施工時に生じる小さなすき間やズレが、実測NC値を悪化させる

インクロジュアでは、設計段階で全開口部の遮音性能を仕様化し、
施工図面レベルですき間ゼロの構造化設計を徹底しています。

◆ まとめ:遮音性能の「最後の詰め」は、開口部で決まる

パネルそのものの遮音等級が高くても、開口部処理が甘ければ静音空間は成立しません。
特に医療施設・検査室では、**規格で定められたNC値やMPANLを満たすための“詰め”**として、開口部設計が重要です。

インクロジュアでは、遮音パネル・ドア・換気・電気系統まですべてを一体設計し、
空間全体として「測定に耐えうる静けさ」を提供します。